レーニン様の癒やしの力は凄いな。何だか元気が出てきた。明日から頑張れそうだ。

 さあゆっくり眠ろう。今日は久しぶりのベッドで眠れるのだから。

 眠るためにベッドにしかれ布団に手を伸ばそうとしたとき、部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。

「エン……起きているか?」

「殿下?はい。起きていますけど?」

 そう言ってエンが扉をそっと開けると、すまなそうな顔をした殿下が立っていた。

「殿下、どうされたんですか?」

「その、すまない。こんな夜更けに女性の部屋に来るのはよくないと思ったのだが……来てしまった」

 頭をガシガシと掻きながらそう言う殿下が、何だか幼く見えて笑ってしまった。

「ふふふっ。大丈夫です。レーニン様に会って癒やしの魔法をかけて頂いたので元気なんですよ」

「そうか、レーニン殿に会ったのか。それでどう思った?」

「え?とても優しそうなおばあちゃんって感じでしたよ」

「そうか……」

 殿下が暗い顔をして、私を見つめてきた。

「レーニン殿にも悪魔付き……認知症の症状が出始めているんだ」

「そうでしたか。それでここにいらっしゃるのですね」

「ああ……エン、どうか認知症の者達を救ってくれ。頼む」

 そう言って頭を下げる殿下の姿にエンは驚いた。王族がこんな風に一般人の私に頭をさげるものでは無いはずだ。そう思い慌ててエンは両手を左右に大きく振った。