押し黙る私に殿下は、冷たく言い放ってきた。

「知らないのか?人間は耳が横に生えていて、耳に毛が無いんだ」

 殿下にそう言われて、縁は自分の耳に触れた。耳は横に付いているし毛は生えていない。そこで周りを見渡すと、騎士達の頭には三角や丸いモフモフの耳が生えていた。

 もしかして、この世界って……。

 私は肩より少し長めの髪を一括りにしていたが、この4日間で髪はボサボサで耳が隠れていた。耳が見えるように横の毛を耳にかると、殿下がそれを見て近づいてきた。

「お前……その耳は……?」

「ああ……あはは……えっと……耳は横で、毛は……生えていませんね」

「うそ……だろ……」

 殿下が私の耳に触れようとしたとき、ガクリと膝を折り地面に突っ伏した。

「ちょっ……殿下、大丈夫ですか」

 殿下に近づくとクルルルと喉を鳴らしてすり寄って来る。

 あれ?

 またマタタビの匂いにやられちゃったのかな?クルルルと喉を鳴らしながら縁の膝の上で丸くなる殿下。