騎士は私から子ライオン……ではなくて殿下を強引に奪い取った。縁は無理矢理に奪い取られたモフモフの感触の残る手を見つめた。

「ああ……私のモフモフが……」

 悲しくて殿下に視線を向けると、「ポンッ」とまた音が聞こえてきた。すると子ライオンは消え、オレンジ色の髪と空色の瞳の男性が現れた。

「ほえーー!」

 変な声を出しながら縁が男性を見つめると、男性は俯き拳を握りしめながら震えていた。

「きーさーまーー!一体俺に何をした!こんな無様な……醜態を晒させやがって!お前の種族は何だ!?滅ぼしてやる」

 物騒な事を言ってくる殿下に、縁は恐る恐る応えた。

「種族……ですか?えっと……人間?」

 疑問形で答えると、殿下がクッと鼻で笑ってきた。

「ふざけるな、人間などと……伝説の生き物が存在するわけが無いだろう」

 小馬鹿にしたように言う殿下を、縁は唖然としながら見つめた。人間が伝説の生き物?

「…………」