普通に廊下を歩いていると、目の前がパッと明るくなった。

 あれ?

 そう思った時には、私は施設の廊下から見知らぬ場所に立っていた。

 え……?

 ここは?

 唖然としながら私は頬をつねってみる……痛い。

 夢では無……い……?

 それならここは何処なのか、私は施設の廊下を歩いていはずだ。利用者さんの日向ぼっこの用意が出来たため、施設長に声を掛けに行こうとしていた……はずなのに……。

 私はゆっくりと回りを見渡しながら、地面を確認した。

 私の足下には木の葉が敷き詰められ、少し湿った木の葉はフカフカとしている。何年も木の葉が降り積もり柔らかくなったのだろう。しっとりと濡れた地面に足を取られそうだ。どう見てもここは外で森の中だった。太陽は出ているようだが、沢山の木々が邪魔をして薄暗くてジメッとしている。

 何これ……どういうこと?

 夢じゃないの?

 縁は先ほどから何度も何度も頬をつねっていた。

 夢から覚めるにはこの動作しか無いと思ったからだ。

 痛くなければ良いのに……そう思っているのに、頬の痛みは強くなるばかりだった。

 夢じゃ無い……。

 そう確信したとき、体の中から沸き起こる感情を抑えられなくなっていた。

「どういうことおぉぉぉぉーーーーーー!!」

 私は思わず大きな声で叫んでしまっていた。