それでも顔は上げずにジッとその時を待つ。

「おい、お前顔を上げろ」

 私は男性のお許しが出たため、ゆっくりと顔を上げた。するとそこには王子様が立っていた。

 王子は金とオレンジを混ぜた色の髪に、空色の澄んだ瞳、キリリとした形の良い眉毛に、美しい鼻梁、全てのパーツが完璧な位置にあり整っていた。

 そんな男性は神々しいほどのオーラを放ち立っていた。

 何この人すっご……。

「顔面偏差値高ッか!」

 思わずそう叫ぶと、王子の米神がピクリと動いた。

 やばい、思わず両手で口元を押さえる。

 それにしてもやばい。

 日本のアイドル様達が霞んで見えてしまう。ああ……これは失言でした。すみません。

 でも、でも、でも、仕方ないよ。目の前にいるこの人マジで格好いいのよ。私に推しはいなかったけれど、この人なら推せる!私の好みドストライクなのよ!異世界のイケメン半端ないな。ジッと王子を見つめていたが、女性からそんな視線を向けられるのは当たり前なことなのだろう。平然としながら王子は縁に話しかけてきた。

「おい、お前。迷い人だと言ったな? それは本当か?」

 ギラリと光る空色の瞳が縁を睨めつける。