新施設には防犯カメラもどきを設置しているため、悪さをするスタッフはいないだろう。今後は鍛冶屋のガンスさんに頼んで、新施設で記録した映像が、直接こちらでも見られるような道具を作ってもらおうかと思ったいる。難しい作業となるだろうが、きっとガンスさんならやってくれるだろう。
ガンスさん、いつも無茶ぶりを聞いてくれてありがとう。
星に向かって手を合わせ、心の中でガンスさんにお礼を言っていると、扉をノックする音が聞こえてきた。
「どうぞ」と扉に向かって答えると、扉を開け入室して来たのはレオだった。
「レオ?どうしたんですか?」
「いや……その、寝る前にエンの顔を見たくなった」
「あら、そうなのですか」
「エンはさっぱりしているな。俺はエンに会いたくて仕方が無かったというのに」
「そんなことないですよ?私だっていつもレオに会いたいですよ。ふふふっ、レオ」
手を広げて名前を呼ぶと、嬉しそうにレオが抱きつきながらすり寄ってきた。
可愛い。
ギュッと大きな体を抱きしめると、レオが肩に顎を乗せてきた。
これは頭をなでなでして欲しいときの合図だ。
レオのお日様みたいなオレンジの髪を優しく撫でると、もっともっとと嬉しそうに首を振ってくる。クルルと可愛く喉を鳴らし、甘えてくるレオが可愛くて、レオが満足するまで頭を撫でた。しばらくして満足したのかレオが顔を上げた。その顔は何故か真剣な表情で、どうしたのだろうかと首を傾げてしまう。