「いえ、エン様は悪くないです。私達がもっと早く相談すれば良かったのに、パグテノ様が怖くて言い出せず、利用者様達には辛い思いをさせてしまいました。申し訳ありませんでした」

 カルパさんとメアリーさんは目に涙を溜めながら、こちらを見た。くりくりのつぶらな瞳がウルウルと潤んで、めちゃくちゃ可愛い。エンは二人の可愛らしさにグラリと目眩を起こしそうになるが、両足を踏んばって堪える。しかしエンの口からは素直な言葉が漏れ出てしまう。

「二人とも破壊力すっごっ……かわっ……」

「「えっ?」」

「あっ……いえ、もう過ぎたことです。今回のことを教訓に前を向きましょう。それで、今の新施設の状況はどうですか?」

 エンの質問にカルパさんが答えてくれた。

「パグテノ様がいなくなって毎日楽しく仕事をさせて頂いています。以前と違い、利用者様にも笑顔が増えてきました」

「そうですか、良かった。新しく着任した施設長はどうですか?」

「施設長はとても優しく、私達にも気を配ってくれる素晴らしい人です」

 その言葉にエンは胸を撫で下ろした。前回は人選をミスしてしまったため、今回は書類審査や面接を頑張った。その甲斐あって施設は順調のようだ。二人の笑顔から、毎日が充実していることが伝わってくる。

「こんなに仕事が楽しいなんて……これも全てエン様と、殿下のおかげです」

「「ありがとうございます」」

 カルパさんとメアリーさんは何度も何度も頭を下げながら帰って行った。

 今度の施設長は優しい人のようで良かった。