パグテノが必死な様子で、弁解しようとしていたが、レオがその言葉を遮った。

「パグテノ貴様は虐待の他にも、この施設の施設費を横領しているだろう」

 パグテノがそんな罪まで犯していたことに、エンは気づいていなかった。まさかの情報に、息を呑みながらパグテノからレオに視線を移した。

「レオンポルド様、私はその様なことは……」

 言い淀むパグテノに対し、レオがグルル……と威圧を掛けると冷酷で禍々(まがまが)しいオーラが漂っていく。するとそのオーラに気圧されたパグテノの口から再度「ヒッ」と息を呑む音が聞こえた。

「もう言い逃れは出来ないぞ。裏帳簿も回収済みだ」

 それを聞いたパグテノは、頭を抱えながらブツブツと言い訳を呟きだした。その目はギョロギョロ忙しなく動いていて、黒くよどんでいる。ブツブツ呟くパグテノの姿は見ていてとても不気味だった。

「私は何も悪くない……悪くない……悪くない。このような悪魔付きを世話してやっているのだ。少しくらい恩恵を受けても許されるはずだ。そうだ……私は悪くない!レオンポルド殿下、どうか私にお慈悲を!」

 不意に瞳に光を戻したパグテノが、ふざけた言葉を並べ出した。レオはその様子を眉間に皺を寄せながら見つめていたが、最後に自分は悪くないと言うパグテノの言葉を聞き、堪忍袋の緒が切れたのだろう。持っていた剣を振り上げた。