「では、このような青あざを作らないようにするために、対策を立てていきましょう」

 そう言うと、メアリーさんの瞳からポロリと涙が溢れ出した。

 ああもうダメ尊い、素直すぎて可愛い。

「メアリーさん、泣かないで下さい。ホントに怒っているわけでは無いんです。次に同じ事が起こらないようにしていければ良いんですよ」

 そう言ってふわりと笑うと、メアリーさんが緊張を和らげた。それにつられるようにして、他のスタッフ達も緊張を和らげていった。

「では皆さん、対策については後日書面で提出して頂きます。各自仕事にもどってください」

 スタッフ達は自分の仕事へと戻っていった。皆素直で優しい獣人さん達ばかりだ。

 しかし……。

 私はエルラさんの手を取ると、トイレへと促した。

「エルラさん、そろそろトイレの時間ですね。一緒に行きましょう」

 私はエルラさんをトイレへと誘導し、そっと服をまくった。

「なっ……これは……」

 エルラさんの服の下に隠れていた体には、無数の青アザが模様のように浮かび上がっていた。私は思わずヒュッと息を吸い込み絶句する。

 このアザの付き方は、転倒によるものではない。これは故意的に出来たアザだ。

 エンはそっとエルラさんの体に出来たアザに触れてみた。特に反応は無く、痛がる様子も無い。

 良かった。

 骨折やヒビなどは入っていないようだ。

 それにしても、服で隠れている部分が全てアザだらけ……。

 ああ……もうこれは疑いようも無く虐待だ。

 でも、一体誰が?

 スタッフの誰かが?