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 王都の街の一角に、施設が完成した。

 設計図が出来あがると、あっという間に施設は完成してしまった。どうやら魔法を使って建てられたらしく、地盤を一瞬でならし、建物を建てたという。

 魔法ってホントにすごい!

 離宮より広く、使い勝手の良さそうな新施設には、認知症に対して差別的な発言の無いスタッフを採用した。そんなスタッフを指導するため、離宮からリリ、ルルを派遣することとなった。期限は三ヶ月とし、スタッフを指導育成する予定だ。私は人間だとバレてしまってから外には出られないため、リリ、ルルに頑張ってもらうしかない。リリ、ルルが離宮を離れるため、手薄になる離宮の施設にも新しいスタッフを二人雇い入れた。一人はヒツジ獣人のメアリーさん、もう一人はアルパカ獣人のカルパさんだ。二人とも女性で、とてもおっとりとした可愛らしい人だった。特にメアリーさんはゆっくりと話をするタイプの人でとても可愛い。二人の新人研修も三ヶ月とし、メアリーさんとカルパさんが一人前に成長したら、新施設へと行ってもらいリリ、ルルはこちらに帰ってくることになっている。

 そんな二人の新人教育をしながら、私は忙しい毎日を送っていた。

「カルパさん、メアリーさん、お仕事はどうですか?辛いこと、嫌なことなどはありませんか?」

 私の質問にカルパさんが首を大きく左右に振った。

「いいえ、嫌なことなど全くありません。むしろ楽しく働かせて頂いています」

「そうですか、良かったです。メアリーさんはどうですか?」

「あの……私は……このお仕事を……」

 いつもゆっくりと話すメアリーさんだが、今日はゆっくりと話しながら言葉が止まってしまった。

 どうしたのだろう?