「レオ……?」

「ン?エン、今の歌は?」

「これは私の故郷の歌です」

「綺麗なメロディーだった」

「私の好きだった曲なんです」

 レオとたわいの無い会話をしていると、いつの間にかレーニン様が目を覚ましていた。

「あらまあ……そちらがエンちゃんのいい人?」

 ハッとベッドの方へと視線を落とすと、ニマニマとレーニン様が笑っていた。

「レーニン様……その……あの……」

「あら……今日はお母さんと呼んでくれないのかしら?」

 今日は随分としっかりしていて、会話もスムーズだ。

「あっ、その、お母さん今日は調子が良さそうですね」

「ええ、とってもスッキリした気分なの」

 そう言ったレーニン様が、ニマニマしていた顔から一変、真剣な表情を見せた。

「それで、エンちゃんのいい人は……はぁ、はぁ……エンちゃんをっ……私の娘を幸せにしてくれる人なのかしら?」

 苦しそうに呼吸を来る返しているが、苦悶の表情を全く見せないレーニン様。それどころか微笑みを浮かべながらこちらを見ている。と言うか、レオを見ている?その目は全く笑っておらず、物凄く怖い。そんなレーニン様を見たレオは、レーニン様と真剣に向き合った。

「レーニン殿、俺はエンを幸せにする。あなたに誓って、俺はエンを必ず幸せにして見せる」

 胸に手を当てて誓いを立てたレオが、私の前に膝を付いた。

「俺は君を幸せにする。必ず幸せにして見せるから、この手を取って欲しい」

 差し出された手を見つめながら、エンはその手を取った。

「レオ……ありがとうございます」

 私達の言葉を聞いていたレーニン様が、ホッ息を吐き出しながら頬を緩めた。