「皆さん、お待ちしておりました。中へお入り下さい」

 そう言うと、キョロキョロとしながらも皆さん離宮の中へと足を踏み入れていく。

「ここが、我が城になるのか?なかなかに良いではないか」

 上機嫌でそう言ったのは先王様だ。それを聞いていたリリ、ルル、、レレ、ロロは先王様の前で頭を垂れた。

「魔王様、お気に召されたようで良かったです」

「ゆっくりおくつろぎ下さいね」

 などと、4人が代わる代わるに声を掛けている。魔王様、魔王様と声を掛けると、先王様は嬉しそうに胸を張っている。随分と先王様の扱いが上手くなっものだと、感心してしまう。元聖女のレーニン様も、元人魚姫のローラ様も興味深そうにキョロキョロと回りを見渡していた。

 ちなみにローラ様は部屋を移動出来るよう大きな水槽に、車輪を付けてもらった物をガンスさん作ってもらった。魔石を使い、水槽内は常に清潔な水を保ち、温度も一定になるようにしてもらった。温度調節も出来るとか凄すぎるよね。

 ガンスさん、ホントに天才!

 そして、いつも木になってしまうレッサーパンダ獣人のポノロさんは、相変わらず木になっていた。時々「光合成」と言いながら唇を動かすが、その他はピクリとも動かずに車椅子に座っている。

 見事に木になりきっているわね。

 はははっ……。

 安定の木だ。


 久しぶりに会う利用者さん達を見つめ、エンは大きな声で挨拶をした。

「皆さん、王城の介護施設へようこそ!本日より新たに施設を開業します。よろしくお願いします」

 私の挨拶に賛同するよう拍手が沸き起こる。

 優しい視線を向けられて、私はありがとうの気持ちを込めて頭を下げた。