「わーっ、凄いです。この広さがあれば、机と椅子を置いても車椅子も余裕で移動できますよ。後は洗面と、お風呂と、トイレを付ければすぐにでも使えます」

「そうか、それならその様にすぐに手配しよう。王の方にも話を通しておく」

「はい。お願いします。王様も、先王様が近くにいた方が嬉しいのでは無いですかね?」

「そうだな」

 レオが嬉しそうに頷いた。


 それからはあっという間だった。

 離宮全てを綺麗に磨き上げ、車椅子用の低めの洗面を付けたり、車椅子が余裕で入れるトイレを作り、机、椅子の用意。やることは沢山あったが何とか形になってきた。

 うん。

 だいぶ施設っぽくなってきた。

 新施設の開業まであと少し、頑張るぞ!


 それから一週間後、森の屋敷からお引っ越しをする日がやって来た。認知症の方々を違う場所へと連れてくるのは大変だろうと思っていたが、思いのほかすんなりと離宮へ引っ越すことが出来た。