「こ、怖いよ田辺くん……」
「それだけじゃないんだよ、宮田さん」
生徒会執行部が『廃部』といえば、その部活は必ず廃部になる。
校則を破った生徒に『停学』を言い渡せば、その生徒は必ず停学処分となってしまう。
なぜか生徒会にとても詳しい田辺くんは、そのあとも彼らのことをたくさん話してくれた。
「分かってくれた?それが桜ヶ丘学園の生徒会執行部なんだよ」
「お、恐ろしすぎるよ……!」
「そんな生徒会のメンバーに直接会いに行くなんて、余計に目を付けられてしまうよ?」
田辺くんの落ち着き払った声色のせいで、余計に生徒会という組織が怖く思えた。
「で、でもそれってただのウワサ……なんだよね?」
「ううん、実際に校則を破った生徒が何人も停学になったり、謹慎処分を受けてるらしいよ」
「ほ、本当に!?」
少し前まで『生徒会長に会いに行ってやる!』と燃えていた私はもういない。
それどころか、ちょっぴり恐怖心すら芽生えている。
「(生徒会の命令に逆らったら、停学……っ。で、でもっ!)」
だからって、このままなにもしないわけにはいかない。
私はグッと腕を握りしめて、覚悟を決めた。
「と、とにかく行ってくるから!」
「あ、待ってよ宮田さん!」
私は田辺くんの"待った"を振りほどいて、部室を後にした。
今思えば、あのときちゃんと田辺くんの言うことを聞いておくべきだったんだ。
そうすれば、あんなことには……ならなかったはずだったんだ!