来栖先輩から受け取った用紙を、おそるおそる読んでいく。



「今日の放課後、生徒会室にくるように、て……」

「そういうことだから」

「い、嫌なんですけど!」

「うるさい」


そうじゃなくても、今日から田辺くんと二人で、マンガ研究部の勧誘をしようねって約束をしているのに。

しかも、『通知書』と書かれた用紙の最後には『※生徒会長命令だよ』とご丁寧に手書きで書かれてある。




「く……っ」

やっぱり袴田先輩は全然諦めてなんていなかった。

むしろ、こうしてどんどんいろんな人を使って誘いに来ている。




「(ど、どうしよう……っ)」

もしかすると私、この学園で一番目をつけられちゃいけない人と関わりを持ってしまったのかも。




「じゃ、俺は伝えたから帰る」

「あ、あの!」


素っ気なくそう言って、教室を出て行こうとする来栖先輩を呼び止めた。

すると先輩は、明らかに面倒くさそうにゆっくりと振り返る。



「……なに」

「袴田先輩はどうして……その、ここまで私を勧誘するんでしょうか」

「知らない。俺はただ生徒会長の命令に従ってるだけ」