ぶっきらぼうな声で呼ばれた私の名前。
教室の入り口に立っている人を恐る恐る見上げた。
「……ひっ!」
そこには、腕を組んでギロッと鋭い目つきで私を睨む一人の男子生徒。
私は驚きのあまり、ビクッと体が飛び跳ねた。
「なぁ、名前。合ってんの?」
「あ、えっと……はい」
「はぁ、やっと見つけた。なんで一年はこんなに騒がしいんだよ」
私と同じくらい大きなため息をついて、周りに集まった一年生たちを見て表情を歪めた人。
この人が、二年生の来栖先輩……なんだよね?
短髪の黒髪に、高い身長。
どこか素っ気ない雰囲気を纏っていながらも、力強い目つきが印象的だった。
「(みんなが騒いでしまうのも分かる気がする……)」
こんなにも一学年の棟がザワザワしているのは、他でもない来栖先輩自身のせいだってことには気づいていないみたい。
「あの、なにか私に用事ですか?」
「……」
そう問いかけると、来栖先輩はその瞳で私を見たあと、教室の中へ入ってやってきた。
そして、一枚の用紙を私に手渡す。
「な、なんでしょうかこれは……」
「知らない。生徒会長から預かったから渡しにきただけ」
──出た!生徒会長の名前!
やっぱり他の生徒会メンバーに頼んで、私を勧誘しにきたんだ。