「生徒会の監査係なんだよ、来栖先輩は」

「監査係?」

「部活とか委員会とかで、なにか不具合がないかを監視して生徒会に報告する係、らしいんだよね」

「す、すごいね。そんな係まであるんだ……」

「本当に杏子ってば、生徒会のこと知らなさすぎ!」


美加ちゃんも鈴菜ちゃんも、他の女子たちと同じように興味津々で来栖先輩の姿を探している。


「来栖先輩って言えばさ!クールなイケメン、って言われているよね!」

「そうそう!滅多にすれ違うことなんてないのに、どうしてここに来てるんだろ?」



盛り上がっていく二人とは正反対に、私はどんどん青ざめていく。


「(ま、まさかね……?)」


私は頭の中でふとよぎったことを、首を大きく振って消し去った。

袴田先輩が他の生徒会メンバーを使って、私を勧誘しに来たとか……そんなことあるわけないよね。



生徒会は忙しいらしいし、そんな暇はないはず。

『大丈夫、大丈夫』と自分に言い聞かせていた……そのとき。






「──アンタが一年二組の宮田杏子?」

「……!?」