それと、私にはもう一つ不安要素が残っている。

それは袴田先輩から言われた、あの強引な生徒会の勧誘だ。




『杏子、生徒会に入りなよ』

昨日のあの先輩の言葉が、今もずっと頭の中をグルグルしている。



「(何回も断ったけど、袴田先輩も諦める様子じゃなかった)」

生徒会長の命令は絶対だ、だなんて言われたけれど、このまま逃げ続けていたらどうなっちゃうんだろう。



「はぁ……」

まだお昼だっていうのに、すでに何度目かの大きなため息をついて肩を落とした。そのとき。




「──キャー!!」

「嘘、あれって来栖先輩じゃない!?」

「なんで一年の教室に来てるの!?」

「来栖せんぱーい!!」



突然廊下から響いてきた、他のクラスの女子たちの飛び跳ねた声。

瞬く間にザワつきはじめた一学年の棟に、美加ちゃんと鈴菜ちゃんも何があったのかと教室の外を伺っている。




「ねぇねぇ!一年の教室に来栖先輩が来てるみたい!」

「……来栖先輩って誰?」

「もう、杏子のバカ!生徒会メンバーの一人だよ!」

「せ、生徒会!?」

「二年生の来栖先輩!」



鈴菜ちゃんのその言葉を聞いた瞬間、心臓がドクンといやな音を立てた。