私、宮田 杏子には夢がある。
それは、大人気の少女マンガ家になること!
はじめて少女マンガに出会ったのは、まだ小学二年生のとき。
お姉ちゃんに貸してもらった『キミと恋するまで、あと少し。』という少女マンガに出会って、私の世界がキラキラと輝いた。
ちょっぴりイジワルだけどカッコいいヒーローと、ドジッ子だけど頑張り屋さんなヒロインの恋。
ヒーローの一途な恋や、ヒロインを思う気持ちに、何回ドキドキさせられただろう。
胸がキュンとなって、ワクワクして、次のページをめくるのが楽しくてたまらなかった。
もともと絵を描くこと好きだった私は、いつか、そんなマンガを描きたいと思うようになった。
そして、将来の夢が『大人気の少女マンガ家』になるまで、そう時間はかからなかった。
「どうしよう、田辺くん……っ。廃部なんて、イヤだよ」
そんな大好きな少女マンガ『キミと恋するまで、あと少し。』の舞台になったここ、桜ヶ丘学園中等部。
ずっと憧れていた学園に無事入学が決まって、二ヶ月が経った。
やっと学園での生活にも慣れて、仲のいい友達もできた。
そしてマンガ研究部に所属して、思いきりマンガの練習ができると思っていたのに。
「ほら、昨日二年生の山下先輩が辞めるって言ってたでしょ?だから部員の数が足りなくなったんだよ」
「山下先輩、本当に辞めちゃったの!?」