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この桜ヶ丘学園の中で、生徒会が人気だってことは知っていた。
中でも生徒会長の袴田先輩の人気がダントツだってことは、美加ちゃんと鈴菜ちゃんから耳にタコができるくらい聞いている。
他にも、クラスメイトが毎日のようにウワサしている生徒会の話を聞いたから、それだけ人気者の袴田先輩って、いったいどんな人なんだろうって思っていた。
だけど──。
「いつからそこにいたわけ?」
「あの、えっと……っ」
「その反応、最初から見てたんだ。……最悪だな。気づかなかった」
みんなから人気者の生徒会長が、こんな裏表のある人だとは思ってもいなかった!
気怠そうにポケットに手を入れて、『はぁ』とため息をつきながら私の目の前にやってきた袴田先輩。
その姿は、みんなの人気者の『袴田壱架先輩』とはかけ離れている。
「まさかこんなところまで後をつけられるとは思わなかった」
「……っ」
「なに?生徒会に入らせてくれって言いにきたの?」
「ち、違いますっ」
「じゃあなんでこんなところまで来たわけ?」
「えっと、その、部活の件で廃……っ、廃部を取り下げてもらいたくて」