「俺がこの学園にいるうちは、面倒ごとを起こすなって一年のときから言ってきたよな?」

「だ、だから悪かったって!」

「“悪かった”?誰に口利いてんの?」



これは、夢?だって、こんなのありえない。

私は今、目の前で起こっていることが信じられないでいる。


だって、あの袴田先輩が、あんなふうに悪態をついて、先輩たちを薙ぎ倒しているだなんて。



生徒会長の袴田先輩は、誰にでも優しい人なんじゃなかったの!?

先生たちからも評判がいいって……、美加ちゃん言ってたよね!?



私が袴田先輩を見かけたときだって、先輩はいつも爽やかな笑顔で生徒たちに挨拶を交わしていた。

入学式のときに壇上に上がってきた、あの優しい先輩とは……まるで正反対。



「(た、大変なものを見ちゃったかもしれないっ)」

ここに来たのは間違いだ。

今すぐこの場から離れてしまいたいけれど、バレてしまったらどうしようと思うと怖くて体が動かない。