「(もしかして、袴田先輩……倒れちゃったとか!?)」
大変だ、もしそうなら助けてあげないと……!
私は急いで走って、先輩のあとを追いかけた。
「──これ以上、俺の仕事を増やすなって言ったよね?」
「……え?」
だけど、そんな私をストップさせたのは、地面を這うような低い声だった。
「わ、悪かったよ袴田!俺たちが悪かったから!」
「もう校則違反はしねぇから!な!?」
「遅いんだけど。今まで何回も注意してきたよな?」
物騒な会話が次々と飛び交っていく。
ただ事じゃない雰囲気に、私は怖くなって、物陰に隠れて身を潜ませた。
「(どういう、状況なの?)」
少しだけ顔の覗かせて、その場の様子をのぞいてみると──。
「!?」
目の前には、ありえない光景が広がっていた。
私は驚きのあまり、声が出そうになるのをグッと押さえた。
そこには、学園の中でも不良と呼ばれていて、いつも校則を破っている三年生が三人。
驚いたのは、先輩たちが全員地面に倒れていたこと。
そして、もう一つは──。
その場に颯爽と立って、不良の先輩たちを見下していたのが……“あの”袴田先輩だってこと。