「私、今から生徒会長に会いに行ってくるね!」
「えぇ!?直接言いにいくの!?」
「うん。だって、廃部の決定を出したのは生徒会なんだもん」
田辺くんと同じような反応で驚く美加ちゃん。
美加ちゃんも生徒会のことに詳しくて、中でも副会長の白浜先輩のことが好きだって言っていたことを思い出した。
「そっか。でもあの生徒会長ならどうにかしてくれるかもしれないね」
「そうなの!?」
「袴田先輩って、生徒みんなに優しいんだよ」
「こ、怖い人なんじゃないの!?」
「ううん、真逆だよ。あたしが部活のことで困っていたとき、袴田先輩に助けてもらったことがあるんだよね」
田辺くんよりも生徒会のことに詳しい美加ちゃんは、そのあとも目をキラキラさせながら袴田先輩のことについて教えてくれた。
袴田先輩は勉強の成績も常に一位で、運動も抜群にできちゃうんだとか。
誰にでも優しくて、いつも人の輪の中心にいる袴田先輩は、生徒だけじゃなくて先生たちからも評判がいいらしい。
そして、袴田先輩が三年生になったとき、学園中の生徒たちからの推薦を受けて、今の生徒会長の座に就くことになったんだって。
「でね、そんな袴田先輩を目当てに生徒会に入りたい人が殺到したらしくって」
「同じクラスの人たちも、ずっと生徒会に入りたいって言ってる人いるもんね」
「だから今は制度が変わって、生徒会長自らが選んだ人じゃないと入れなくなったんだよね」
美加ちゃんの話を聞いて、少しだけ安心した。
生徒会がすごく恐ろしい組織のように思っていたから、袴田先輩が優しい人だと知ってよかった。