「あのさ‥‥ハル‥‥
 多分気づいてると思うけど、
 あそこにいた人ね、
 この間別れた人なんだ。」


ハルも彼の言葉を一緒に聞いてたから
もうバレてるだろうし、
私の方がいわゆる不倫相手になるわけで、
知らなかったとはいえ、世間的には
奥さんに最低なことをしていた


今思うとデートの多くは
夜だけしか会わなかったし、
日付が変わる前には別れてた。


仕事が忙しい中でも会ってくれてるなんて
馬鹿みたいに一年も信じてたなんて‥



結婚記念日とほぼ同時期だから
悠介は結婚したてな頃から私と
そういう関係を続けてたわけだ。



『知らなかったとはいえ奈央は
 その人のこと好きだったんだろ?』


「‥‥うん‥‥そうだね。
 でもそう思ってただけで、
 わからなくなってたのかも。」


もう一口温かい飲み物を飲むと、
隣に座るハルが肩を抱き寄せてくれた。


不思議なんだよね‥‥
東井さんの存在って‥‥。


職場だけじゃなく今もだけど、
空気が一気に和らぐっていうか‥


『奈央はこれからもっと違う人に
 絶対愛されるから、
 背伸びせずにそのままいたらいいよ。
 その人より本当に奈央のこと大切に
 思う人はいるからさ。』