立ち上がったところから、
見下ろす感じで大倉さんからの
鋭い視線を受け取ると、
何故か冷や汗が出始める


えっと‥‥
さっきから何度も考えてるけど、
今日、初日ですよね?


午前中殆ど仕事してないのに、
上司の恋人の有無が気になる?


‥‥‥その前に、
午後の仕事のこと聞かないの?


「知りません。お先です。」


冷たい応対と思われても嫌われても
別にいいと思う。


今までの慣れてきた仕事のペースが
乱されるほうがどっと疲れてしまうから


東井さんには申し訳ないけど、
様子見ながら指導の件は断ろうかな‥


今まで長く勤めてきて、
自分の意見なんて伝えたことないけど、
我儘って思われてでも私には向いてないから
正直に伝えたいと思った。


『甲斐田さん、ちょっといいですか?』


倉庫内に入った私は、
手招きする東井さんの方に駆け寄った。


みんな今休憩してるのに、
東井さん食堂まだ行ってなかったんだ‥


大倉さんのことで、もしかしたら
今日の仕事が大幅に遅れてるのかな‥


『チョコレート食べれる?』

えっ?