プリを撮ったあとは、ひと通りクレーンゲームをまわった。初心者には難しくって、千円も使ったのに小さな人形一つすら取れなかった。
 「こういう時にサッと取ってあげられたらかっこいいんだけどなー」と口を尖らせるエージ先輩が、可愛く見える。
 そんなこと、別にいいのに。

 そのままウロウロしてるいと。

「あっ……」

 ゲーセン内の片隅の休憩スペース。そこに立つ『めちゃ盛りソフトクリーム!』の旗が目に入った。
 お金を入れたらソフトクリームが自動で出てくるシステムらしい。これって、紗枝と美優が話していた――。

「食べたい?」

「えっ」

「食べたいよね」

 先輩はそう言うなり百円玉を機械の中にスルッと入れた。

「え、いいですよ、わたしが……」

 さっき散々お金を使わせた身としては、これ以上使わせるのは申し訳ない。
 だけどエージ先輩は、お金を取り出そうとするわたしを見て「いいから」とはにかんだ。
 ……こんなの、本当のデートみたいだ。

 カタカタ、という音とともに、機械から下に置かれたカップにソフトクリームが落ちてくる。
 カップが置かれた台がうまいこと回転するから、ちゃんと渦巻きの形になっていた。
 あっという間に特大ソフトクリームの完成だ。

「これで『盛る』らしいよ」

 機械の横にはトッピングスペースが設けられていて、砕いたナッツやクッキークランチ、五色のスプレーチョコなどいろんなトッピングが置いてある。

「あ、これかわいい」

 わたしがスプーンで取ったのは、クマの形をした小さなチョコレート。パラパラと特大ソフトクリームの上にまぶして、これで本当の「めちゃ盛りソフトクリーム」の完成だ。