――当然。
 その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がザラつく感じがした。
 進路のことは二人に言ったことないのに。

「う、ん……まぁ」

「だよねぇ。なんてったって家がお医者さんだもんねぇ。いいなぁ芽衣は、将来が決まっててさ。わたしたちなんて、なにしたらいいか全然わかんないしぃ。とりあえず美優もわたしも、今の成績で行けそうなO高で出したけどさぁ。ねー、美優?」

「ねー、紗枝」

 二人は顔を見合わせて、いたずらがバレた時の子供みたいにクスクス笑った。
 同じ部活、同じくらいの身長、髪の長さは違うけど同じポニーテールを結って。どうやら行く高校まで一緒にしたらしい。

「……そういえば、今日は部活じゃないの?」

 疎外感にいたたまれなくなって、どうでもいい質問を投げかけた。
 早くこの場からいなくなってほしいと思ったからというのもある。
 だけど紗枝と美優は「よくぞ聞いてくれました!」と言わんばかりに、満面の笑みを浮かべて、

「実は今日部活なくなっちゃって」

「駅前にできたっていうゲーセンにいくことにしたんだ」

 そう言って、また顔を見合わせた。
 もちろんわたしはそんな話を聞かされているはずもなく、聞くんじゃなかったと一瞬にして後悔する。

「そーなんだ……」

「あっ勘違いしないでね? 芽衣も誘おうと思ったんだけど……ほら、芽衣ってこの後、美術部でしょう?」

「そぉそぉ! 芽衣を仲間外れになんかするわけないじゃーん!」

 わざとらしく、後ろからわたしの首元にまとわりつく紗枝。美優は美優で張り付いたような笑顔が不自然だ。

「部活は……辞めたんだ」