懐かしい。
大きなホールのアリーナ席。

下を見ると、見覚えのある登場ゲート、スーツを着た審査員、周りを見れば大勢の観客。

まさか私がアリーナ席でこの光景を見ることになるとは、2年前の私は思っていなかっただろう。


かつてを思い出しながら、なんとなく私は落ち着きはじめた。

予選4位通過の仲間たちのチームは、真凜曰く、くじ運が悪く最後の登場になったらしい。

『予選の結果はあまり良くなかったから…』

そうメッセージが来ていた。
プレッシャーもより一層かかってくるだろう。

それでも真凜がわざわざ地元まで来てくれたんだ。
きっと、凄いことが起きると私は心の中で信じる。





「みやび?」




背後から聞き覚えのある声がした。
後ろを振り返ると、予想通りの人がいた。

「元気にしてた?」

そちらは驚く様子もなく、たまたま空いていた私の隣の席に着いた。


「さやか先輩。」


私が1年生の時、私たちの学年だけで表彰台に立った。
だけどそこには、実際には違うけど、さやか先輩がいた。


選抜クラスから外された、先輩達の中で唯一。



私たちの学年のチームに入る案もあったけど、さやか先輩は断っていた。