新幹線。
過ぎ去る景色。

2年ぶりだ。



『旅行楽しんでね!』

『ありがとう』


"旅行"ではないのだけれど…


那樹にメッセージアプリで返信する。



私は"あの"チケットを見つめた。

新幹線に乗って時間が経った。
もうすぐ目的地に着く。

それと同時になんとなく不安が押し寄せてくる。
少し手が震える。


私は那樹に電話口でケジメをつける、と言った。
もう何があったのか、もしかしたら那樹は知っているのではないかと、なんとなく、そう感じていた。


深呼吸をする。



心を落ち着かせる。


そうすると、次に見える世界は…



「よしっ…」


目的地に新幹線が到着する。

私は背筋をただし、堂々と会場へと向かっていく。