その日はやっぱり寝付けなかった。
私がうだうだしてる間に、時は進んでた。
真凜からもらった、全国大会のチケットを手に取る。
(もう、2年も…)
変わろうとしていのは私だけ。
あの頃のやるせない気持ちが再び蘇る。
『なんで、私なの…』
『今の医療では…』
『夢があるんです!私は、私は……』
踊りたい。
プロになりたい。
小さな頃に見たとあるライブのバックダンサー。
私は歌手ではなくバックダンサーに目を奪われた。
既にダンスを習っていた私の目標は決まった。
学生のうちにバックダンサーを経験したことはある。
でも、それだけじゃ物足りない。
まだ見ぬ大きな舞台を私は目指していきたかった。
寝床に入り、気づけば外は明るい。
私は目から涙を零していた。
気づかなかった…
もうこんなに時間が経っていたことに…
突然スマホの画面が明かりを灯した。
(こんな、朝早い時間に…)
誰かと思って私は自分の顔のそばに置いていたスマホを手に取る。
「え…」
驚きつつも、画面を確認する。
『多分寝れないんだろうなって、思ってた。』
那樹からの電話だった。