「高校の担任だった先生のお兄ちゃんで…」
ややこしくなってきたような…
「プライベートで先生に会ったら、その時偶然いて…、こっそり連絡先交換したらこうなりました!」
あぁ、行動力が凄い。
唖然としていると、藤沢ちゃんが両手をギュッと握りしめ私におねだりするような感じの体制になっている。
「お願いします!お金は私が持ちます!」
「…うん。分かったよ。今日は何も無いし良いよ。」
「あ、ありがとうございますっ!!!」
「時間なくなるよ、食べよう。」
「はいっ!!」
目の前の藤沢ちゃんがあまりにもキラキラしていて、恋する乙女って感じで、
(今、どこで何をしているんだろう……)
私はまだ過去に囚われたままなのに…
心臓がズキっと痛む感じがする。
この感覚もあのころと変わらないまま。
『みやび、俺と付き合って』
『…ごめんなさい』
好意を寄せてくれる人は、有難いことに何人かいた。
噂だけで終わる人もいたし、直接好意を伝えてくれる人もいた。
"恋をする気持ち"
それを知っていたから、私は恋愛として好きでもないのにその人の隣に立つことが出来なかった。
お試しでもいいんじゃない?、とも言われたことがあったけど、それこそ失礼だと思ってしまう。
「やば、5分前だ!」
「あ!急がなきゃね!」
足早に休憩室を後にした。