ファミレスからの帰り道。
といっても私の家の近所だからすぐだけど。

約7年振りの再会。
あれだけ私が酷い言葉をかけたにも関わらず、私の隣を歩く那樹はなんだかとても楽しそうだった。

そう、あの頃と変わらない。


「どうしたの?」


そんな那樹を見つめてしまっていて、それに気づいた那樹は足を止め、私を見ながら少し首を傾げる。


「那樹は那樹だなって、思って」

その純粋な眼差しに、私は妬みなのか、劣等感なのか、一言では整理できない感情に陥る。


「何それ」

「褒めてるんだよ」


嘘でもこう言っておかなきゃ、また那樹の悲しむ顔は見たくない。


私はいつまで過去に囚われ、この人に嘘をつき続けなければならないんだろう。

誰か教えてよ…





「あ、じゃあ着いたから、また」

「待って!」


私の家の前にたどり着く。

が、私の右手は那樹に掴まれていた。
私は進もうとしていた足を止める。


何かを決心したかのように、那樹は言葉を紡ぐ。




「いつか、……教えて、ね」




その意図とは。

ダンスを教えて、ということなのか。

それとも……



「うん。いつか、ね?」


私のニヤッと少し気味悪いように笑った。

何か誤魔化しておかないと、何かが壊れてしまいそうになる。



「じゃあね!」

「うん!また!」



私はだんだん遠ざかる那樹の後ろ姿を、曲がり角で見えなくなるまで見送る。