光もいろいろ思い悩んだりしたみたいだが、音楽は趣味にするといって、教師になる夢を叶えることを選んだ。
「私は、1人でも頑張りたいです。」
ある日、高校2年生になった那樹が久々にライブハウスにやってきた。
そしてこう言った。
その時の熱すぎる眼差しは、スタッフ全員忘れられなかったはずだ。
そして定期的に那樹はステージに上がるようになった。
その可愛らしい見た目から放たれる、クールな歌声はSNS等で拡散され、大手事務所の目に止まったこともあった。
だけど
「明さん、また…でした」
「あぁ…」
事務所関係者が注目したのは、声ではなく容姿。
確かに見た目が見た目だ。
那樹の元にはアイドル売りをする誘いが来ていたのだ。
「アイドルグループにアクセントを…って」
俺と那樹は大学近くのカフェで、那樹がもらってきたプロデュースのコンセプトなどが書かれた資料に目を通していた。
「あ、きたきた。」
「光さん、お疲れ様です。死にそうですね。」
「テスト死ぬかと思ったわ」
そこにテスト終わりの光が合流。
バンドは終わってしまったけど、決して仲が悪くなった訳では無い。
普通にこの3人で遊びに行くこともあったし。
「またこんなんか。」
「光さん、どうすれば良いと思いますか?」