「明!どうだった!?」

「良すぎた…」

「だろ!…ほら、那樹!」


俺は出番が終わった光達とステージ横で集まっていた。

圧巻だった。


"那樹"と呼ばれた女の子が俺に向かって軽く会釈する。
見た目は落ち着いていて優しげな雰囲気。
あのかっこいい声とは逆で、どちらかというと女の子らしいふわふわした感じだ。


「明、お願いがあるんだけどさ…」


「ん?……」


「お、お願いし、します!!!!」


その後、俺・光・那樹は急速に仲を深めていった。












光のお願いは、確かに頼むなら俺だよな、と思う内容だった。

何かというと、


『那樹をアーティストにするのを手伝ってくれ』


というものだった。

光だってそれなりにプロに憧れて必死でベースを練習していたのを俺は知っている。

だから、



『お前達、全員でプロになれよ。』


俺はたくさんバイトを掛け持ちしていた。
その中の一つが、ライブハウスのスタッフだった。
そのおかげか人脈が広まったりもしている。


受験勉強もしつつ、光は那樹たちとライブハウスでの活動を続けていた。
那樹以外は全員光と同い年だった。


勉強と両立してバンド活動は、長くは続かず、結局メンバーの一人が地方の大学への合格通知をもらった時、そのバンドは解散した。