大きい瞳から、涙が一筋零れた。
俺はそれを指で拭うと、佐々木さんを抱きしめた。


佐々木さんが壊れてしまわないように、そっと。
でも、離さないように、強く。


「俺も、佐々木さんが好きだよ。嘘じゃない」


腕の力を抜くと、佐々木さんがこちらに向き直った。
口元には笑みをたたえている。


「人生って、案外悪くないものなのかなって、思いました」


そう笑う佐々木さんの唇に、キスを落とした。
夜が明けないような暗闇の中で、一筋の光を見つけたような気がした。