破天荒な行動をする女だとは重々承知していた。
これでも親だ。
でも、今回ばかりは急すぎやしないか。


再び足音を立てないようにして玄関に戻り、家を出た。
これからどうしようか。
近くのネットカフェにでも入るか。
そう思って財布を覗いても、入っているのは小銭数枚。


頼れそうな友達もいない、金もない。
さあ、どうしよう。


立ち止まっていても仕方ないと思い、取りあえず歩き出した。
行き先は決まっていない。というか、候補がない。


仕方なく学校に向かってみることにした。
渋谷先生の笑顔が浮かんできたけれど、流石に今頼るのは良くない気がする。


迷いながらも学校に着いてしまって、校門の前で足を止めた。


どうしよう。本当にどうしよう。
誰かに話す?誰かと言ったって、私が頼れる先生なんて渋谷先生しかいない。
普段ならもう少し早く動く頭は、全くと言っても良いほど動かない。