作業を手伝ってくれたのは助かったが、突然の質問にはびっくりした。
咄嗟に嘘をついてしまったが、怪しまれなかっただろうか。


また手が止まる。
この頃、暇さえあれば佐々木さんのことを考えてしまっている。


『佐々木さんの生きる意味に、俺がなってあげるから』


こう言ったことを悔やんではいない。
むしろ正解だったように思う。


あの時佐々木さんは、どこかに飛んでいってしまいそうだった。


風に攫われて、あっけなく消えていってしまいそうだった。
フェンスを乗り越えようとしたのか、足を浮かせている佐々木さんを必死に止めた。


結果的に後ろから抱きしめるような形になってしまったのだけれど。


死にたいの、という俺の問いに、佐々木さんは真っ直ぐ、死にたいですと答えた。
そんな佐々木さんを、助けてあげたいと思った。


余計なお世話かもしれない。
迷惑かもしれない。
けど、佐々木さんがこの世界で生きたいと思えるような存在に、なりたいと思った。