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週に一度ある職員会議を終えて、職員室の自分の席でパソコンと向き合う。
作りかけになっていた授業の資料を完成させると、次は配布するプリントに取りかかった。


過去の資料を棚から引っ張り出し、またパソコンとにらめっこ。
最初は順調なものの、中盤に入ってくると手が止まっていく。
ため息をついた頃、肩に手が置かれた。


「渋谷先生、最近詰め込みすぎじゃないですか?」
町田(まちだ)先生」


同じ音楽科の町田先生が声をかけてきた。
担当している学年も教科も一緒なので、デスクが隣というわけだ。


「そのプリント作り、手伝いましょうか?」


町田先生の肩までの黒髪が揺れる。
生徒からは学校一可愛い先生と言われているのもよく見る。


「じゃあお願いしてもいいですか、俺まだやることあって」
「はい。データ貰えますか」


資料のデータを町田先生に転送し、俺はもう一つ頼まれていた仕事にとりかかる。