いい子だなんて、笑える。
ただの金づるだとしか思っていないくせに。


玄関のドアが開く音と、高くて綺麗な声が聞こえてきた。
妹が帰ってきたんだろう。
母親の優しい声も聞こえる。


どうして、私は誰からも愛されないんだろう。
妹がいなければよかった。
何度そう思っただろう。


「えー、すごいじゃん!流石(はるか)
妹を褒める母親の声も聞こえてくる。
これ以上雑音を耳に入れたくなくて、イヤホンを耳に突っ込んだ。


───佐々木さん。


渋谷先生の声が、頭をよぎった。