どう、答えようか。


『思いません』と返したのなら、渋谷先生とのこの時間は終わってしまうのだろうか。


だって、渋谷先生は私の生きる意味になろうとしてくれている。


それが具体的には何なのか、私も渋谷先生も分かっていない。
『生きる意味』と一口に言ったとしても、人によって形は違う。


一緒に生きること。
誰かを好きになること。
夢を追うこと。


自分にとって、大きな核となるもの。
それがきっと、生きる意味なんだろう。


私には、その核はない。
日々を支える支柱のようなものはなく、常に宙ぶらりんのような状態で生きている。


それが嫌だから、死にたかった。


生きていることには生きているのに、背骨がないみたいな感覚がする。
なにを成しても、なにを得ても、背骨がないならどうにもならない。


渋谷先生は、その『背骨』になろうとしてくれているんだろう。
私を支える、大きなものであるそれに。