自分の処分がどうなるか分かってはいたけれど、こんな真っ正面から話を切り出すとは。


「ふたりして話が早いですね。佐々木さんに至っては早すぎるほどですよ」

「無駄話はしない主義なので、私」

「そうですか。直にお母さんがこちらへ来られます。それまで少し待っていただけますか」


はいと頷き、香音のお母さんを待った。
少ししたらドアが開き、教頭先生に連れられた香音のお母さんが入ってきた。


俺の隣に寄り添うようにして座っている香音を見るなり、彼女は顔色を変えた。
ダンダンと足音を踏みならしながらこちらに近づき、右手を振りかぶった。


彼女の右手は香音の頬に当たり、パァンと高い音が鳴った。
香音は打たれた頬を抑えながら、顔を赤くした自分の母親を見つめている。


「……なに」

「なにじゃないわよ!あんたなにしてんの!?教師と恋愛なんて、そんな馬鹿なことする娘に育てた覚えないわ!」


ふ、と香音の口から、乾いた笑いが漏れた。