「え、先生にそれ言ったの?空が好きだから屋上にいたって?」

「うん」

「やばすぎでしょ、不良じゃん」

「不良に手出してる蒼真くんも同じじゃない?」


蒼真くんが顔をしかめた。
私はそれに笑い、話を続ける。


反省の色を一ミリも見せない私を、周りにいた先生たちは腫れ物のように見た。
一度注意されても、私は気にせず屋上に向かった。


親に連絡が行ったって構わなかった。
その時はその時だと思っていたし、どうせ親は私に無関心だ。


「拗れてんねぇ、ほんと。どこまでも拗れてる」

「うるさい、仕方ないもん」


時々蒼真くんによるヤジが入りながらも、私は話を続ける。


ある日、いつもと同じように屋上に向かった。
空を見ていると、じわじわと水色が灰色にかき消されていく。
その時ドアが開き、担任の先生がやってきた。


『何してるんだ!授業に出ろちゃんと!』


人にここまで怒鳴られたのは初めてだった。
顔を真っ赤にして、唾を飛ばしながら怒鳴る担任を見ても、私はなんとも思わなかった。