しばらくするとバスタオルを頭にかぶせ、Tシャツと短パンを着た佐々木さんが戻ってきた。


「ごめんなさい、遅くなっちゃいました。次どうぞ」

「うん」


濡れ髪から俺とは違うシャンプーの匂いがする。
丈の短いズボンから伸びる素足や、少し幼く見える素顔を前に、子供じみた返事になってしまった。


風呂上がりに着る衣類を手に風呂場へと向かう。
まだ少し、佐々木さんの甘い匂いが残っていた。





「ただいま」

「おかえりなさい。あ、アイス出しておきましたよ。固いと食べられないから」


風呂から上がってリビングに戻ると、ソファに座ってテレビを見ている佐々木さんがいた。
机の上にはコーヒー味のアイス。
佐々木さんはそれをぱきんとふたつに折り、片方を差し出してきた。


「どうぞ。やっぱりこれって分け合うべきじゃないですか」

「ね。そうだ、佐々木さん」

「なんですか?」


いつもは下ろしている髪をまとめて、アイスを吸っている佐々木さんがこちらを向く。
ふわりと甘い匂いがする。