前を見るとベットに横になっている律樹くんが目に入った。
律樹くん、、、。
「結花ちゃ、、、じゃなくて、あなた、ここに座っていいよ」
律樹くんのお母さんはそう言うと椅子を指さした。
律樹くんのお母さんには言ってもいいよね。
「あの、!私、記憶戻りました。」
私が恐る恐る言うと律樹くんのお母さんは固まっていた。動いたかと思うと
「、、、え?!?!」
そんな律樹くんのお母さんの声が病室に響いた。
「結花ちゃん記憶戻ったの?!いつ?!」
そうだったな。律樹くんのお母さんいっつもグイグイくるお母さんだったな、、、。懐かしい、、、。
「えっと崖から落ちてる時に戻りました。」
私が少し苦笑いしながら言うと律樹くんのお母さんは安心したように私を見ていた。
「良かったわ〜律樹から結花ちゃんが学校に転校して来たって聞いて会いたかったけど記憶にないから会っても変な人としか思われないだろうなって思ってたから」
律樹くんのお母さんは笑いながらそう言った。
変な人とは思わないんだけど、、、。というか律樹くん私の事話してたんだ、、、、!!
「律樹も立派になったわね〜」
立派、??
私が不思議に思っていると律樹くんのお母さんが言った。
「だって大切な人を守れたじゃない!ずっと言ってたのよ。結花ちゃんが危険な目に遭ってたら絶対に俺が助けるって。でもそれで自分が危険な目に遭ってちゃ意味無いわよね」
律樹くんのお母さんはそう言いながら律樹くんを見て涙を目に溜めていた。
「私、正直助けて欲しくなかったです。」
私がそう言うと律樹くんのお母さんはポカンとしながら私を見ていた。
でも、でも
「でもそれは律樹くんが大切だから。大切だからこそ律樹くんには傷ついて欲しくなかった。でも律樹くんも私と同じこと思ってたんだ。って思いました。」
私は律樹くんのお母さんを見て微笑み、私はそのまま言葉を続ける。
「私この病院に友達がいるんです。その子に律樹くんの話をしたんです。私が助けて欲しくなかった。律樹くんが傷ついてしまうから。そう言ったら怒ったんです。それは律樹くんも一緒だよ。律樹くんは結花に傷ついて欲しくなかったから助けたんだよ。だから助けてくれてありがとう。そう思わないと。って」
「結花ちゃん、、、。」
だから私は、、、私は。
「だからこそ私は律樹くんが目覚めた時、助けてくれてありがとう。そう絶対言おう。そう思いました。」
私は言い切った。その瞬間涙を流していることに気がついた。
なんで泣いてるんだろう、、、。
そう思っていると律樹くんのお母さんが私を見て微笑んだ。
「結花ちゃん。ありがとう。」
そんな言葉と一緒に。
「それとね。結花ちゃんには言っとかないと行けないとがあるわ」
、、、え、??
私は何か嫌な予感がした。
律樹くんのお母さんが諦めたような表情をしながら私に言った。
「律樹が目覚める確率は低いわ。ずっとこのままの可能性もある。そう言われたわ。」
「、、、え。」