少し間が空いてから天の頬が赤く染まっていく。その反応を見て響は嬉しくなる。今まで恋愛に興味がなかった子を落とすのもまた一興だなとニヤリと笑った。そしてすぐ真顔になる。

「……おまえに拒否権ないけどな」

「いやいや!?なんで急に!?嫌ですけど?!」

 天は響の真顔にドキッとしつつもしっかり拒否をする。この後はゆっくり小説のネタを集めてそれを元に小説を書き上げる予定がある。そんな天に響は不機嫌になるわけでもなく、寧ろ楽しそうに笑われた。

「あー……、やっぱりおまえ最高だな」

 響は今まで気に入った相手が自分を選ばない経験などしたことがない。だからこそ、天の反応は新鮮でますます手に入れたくなる。

 響は天を見つめる。甘い眼差しを向けるだけで一々面白いくらい反応を示す天。しかしそれは全て恋愛に結びついてないのか、一向に落ちる気配がない。

 そんな相手を自分一筋にする瞬間はたまらない。

「デートなんてしませんよ。それは好きな子としてください」

「……なんで、俺がおまえを好きじゃないって決めつけるんだよ」


 天の言葉に響は少し不機嫌になる。天は困惑するばかりだ。明らかに揶揄ってるようニヤついた笑みを浮かべたかと思えば急に不機嫌になる響。天はどうしたものかと悩みながら「だって」と答える。

「私たちそんな接点ないですよね?いきなり好きとか言われても信じられるわけないでしょう?揶揄ってるんだなぁと思うのが普通では?」

 天の言葉に響は一瞬固まるが、すぐに大笑いした。今度はなんだ?と天の警戒レベルが上がる。

「おまえ最高だわ!そういうことね、じゃあ尚更デートしようぜ」

「いやいやいや!?なぜ!?」

 もう何を言っても響を面白がらせるだけな天。響は天の手を取り歩き出す。

「ちょっと!霞ヶ浦さん!」

「響でいい。俺も名前で呼ぶ。それに敬語もなしだ。俺らタメだろ?」