響の言葉に天は驚く。いつそんな恋愛みたいな話になっていたのかと。

「フッたとかそーいうのじゃないです。何度も言ってますが安岐くんとは友達なんです。告白すらされてないですよ?」

「おまえ……」

 天が本当に素でわけがわからないという風に答えるので響は呆れた。同時に、この手の疎いタイプは初めてだなと興味を持つ。考えてみれば、ファンの女子達のように天は自分にキャーキャー言わないなと響は考えながら、またコーヒーを一口飲んだ。

「おまえ、恋愛ってもんを知らねえな?」

「いきなりなんですか?まあ、わかりませんけど」

「わかんねぇのかよ、ガチか」

「いや、キュンはわかりますよ!ときめきだってありますし。でも、それが恋愛に結びつくのは……ない、ですね」

「へぇ、またなんで?」

 天の話に響は耳を傾ける。適度な相槌を打てば天は素直に話をしだした。

「だって、恋愛って独り占めしたいとか……誰にも見せたくないとか、そーいう感情があるものですよね?私は自分のキュンやときめきは共有したいと思ってますし。なんならそれで盛り上がりたい」

「変わってるな」

「自覚済みです。ついでにいえば、だから私はキュンやときめきは常に求めてます」

「なんだそれ、笑える」

 響は天の考えが面白くて笑う。今までの女子とは明らかに違うタイプ。なんだか、飽きないなと思い、話せば話すほど天に惹かれていった。

「安岐くんは、その私の願いを聞いてくれる貴重な男友達なんですよ」

 そんな中、天の口から葵の名前が上がる。今まではなんとも思わなかったのに、響はなんだか無性にイラッとした。

「それなら、俺じゃダメなの?」

「……え?」


 響の一言に天は固まった。何を言ってるんだこの人は?と頭をフル回転させるが答えはでない。

「キュンやときめきなら俺のがあいつより上手いと思うけど?」