「あー……それはな……あの子らをどうにかしたかったんだよ」

 響は困ったように頭を掻くが、渋々理由を話した。

「運悪く囲まれちまって、いつも応援してくれてるのに無碍にもできないだろ?なんかいい方法ないかなって時におまえが現れたってわけ」

「つまり、安岐くんのことは特に」

「興味もねぇわ」

 吐き捨てるように言う響。天はそらならばともう用は済んだと決めて立ち去ろうとする。それを慌てて響が止めた。

「おいおい、礼くらいさせろよ。貸し作りたくねぇし」

「別にそんな気にせずとも……」

「つーか喉渇いた。カフェでも入ろうぜ」


 天の返事も聞かずに響は近場のカフェの扉を開ける。

 そこは以前葵ときたカフェ。店の前の看板に新作パンケーキの宣伝がしてある。

 店員に案内された二人は日当たりのいい席に座った。注文を聞きに来た店員に響はコーヒーを頼み「おまえは?」と天に聞く。

「それじゃあ、カフェオレを」

「おけ、それでお願いします」

 注文を終えて、響は天を見つめる。その視線に耐えきれず天は口を開いた。

「あ、あの……何か?」

「……安岐とはうまくいってんの?」

 突然の質問に天は少し驚いたが、素直に答える。

「え?まあ……仲良くさせてもらってます」

「ふーん」

 その答えを聞いて響は面白くなさそうな顔をした。天は首を傾げつつ、何か話した方がいいのかと、とりあえず共通の話題である葵のことを口に出す。

「ここ以前に安岐くんときたことあります。ちょうど誕生日のお祝いで」

「ふーん。デートじゃん」

「違いますよ!安岐くんとは友達です」

 天が慌てながら否定すると響はニヤニヤしながら運ばれてきたコーヒーを飲む。

「じゃあ、あいつの一方通行か」

「え?どーいう意味です?」

「おまえにフラれて可哀想な奴って話」