「まあ、外野がとやかくいうことじゃないしな。安岐と赤音にしかわからん関係もあるだろうよ」

「伊丹くんっ……いや、いたみん!」

 天はガシッと伊丹の両手をとりブンブンと上下に振る。

「きみは味方だと思ってたよ。さすが」

「でもおまえ、俺の名前こないだまで知らなかったよな」

「いたみん!?それはっ、その……過去のことは消し去ろう。私たちは今、前を向いている」

 天は無理やり話を終わらせた。その行動に伊丹をはじめリッカやエマも笑う。

「まあ、テストは一緒に勉強したほうが効率いいしな。赤音がよければ安岐も誘ってやれよ」

「いや私はっ!ていうか、安岐くんの邪魔になるでしょ」

「いいですよ」

 そこへやってきたのは葵だった。天はまさかの来客に驚く。リッカとエマも目を見開いた。そんな3人に気にすることなく葵は続ける。

「俺は別に構いませんよ。赤音さんが迷惑でなければですが」

「え、あ……迷惑なんて思ってない、よ」

 葵の言葉に天は赤面しつつなんとかそれだけ答えた。しかし、二人きりはハードルが高い。葵にキュンをされまくりキャパオーバーした日からまだ数日。天は余計な緊張をしていた。葵からのキュンを小説に書いたらそれはもう好評だったのだが……それはそれ、これはこれ。またあんな風に揶揄われたら、天の身は持たない。

 天は隣にいるエマとリッカ、伊丹を見る。どうせなら、巻き込んでしまおうと。

「せっかくだからみんなで勉強しよう」


 こうして5人は放課後に図書室で勉強をすることになったのだ。




「全く、図書室で勉強なんて初めてだわ」

 図書室の奥の座席に座る5人。リッカが軽く文句を言いながら教科書を取り出す。それに対し天はぴしゃりという。

「そんなので文句言ってちゃもったいないよ!赤点とったら夏休み補習地獄だよ!?私は嫌だね!」