全国剣道大会の予選が終わり、梅雨の時期。(そら)は珍しく真面目に机に向かっていた。先日の小テストの点数が悪かったのともう少しで期末テストがあるためである。赤点を取れば夏休みは補習地獄。小説を書く時間が減る。デメリットしかない。

 だから、こうして知識を蓄えようと対策をしていた。そんな天を見てリッカとエマは労いの言葉をかける。

「頑張るわねーあんた」

「集中してたじゃん」

「これも全て小説を書くために必要だと思えばなんのその……もおやめたい」

「前言撤回早すぎ」

 呆れながらリッカがツッコミ、エマは「そういえば」と切り出す。

「部活もテスト前期間だから休みになるよね?一緒に勉強したりするの?」

「ん?誰と?」

「安岐葵と」

 エマの言葉に天は慌ててガタッと自分の足を机に打つ。

「いてっ」

「なにやってんの」

「あんたほんと大丈夫?」

 痛がる天を心配しつつリッカは天に問う。

「大会の時のあんたら、いー雰囲気出してたじゃないの。もしかして……」

「……いやいやいやいや!ないない!」


 慌てて否定する天だが、リッカとエマは疑惑の目を向ける。そんな二人に天は必死に弁解する。しかし、二人の疑いの目は晴れない。そこでタイミングよくきたのが伊丹だった。

「おーす、こないだは3人ともありがとな」

「伊丹くん!ちょうどいいところに!私と安岐くんは何でもないという身の潔白の証明を手伝って!」

「は?何言ってんだ?」

 天の説明に頭に?マークを浮かべる伊丹。見かねたリッカとエマから話を聞き「ほほぉ?」と口の端を上げる。

「伊丹くん?なんだいそのニヤついた顔は」

「いんや?なかなか面白いことになってるなーって」

「なってないよ!?」

 天のリアクションに伊丹はおかしそうに笑うと穏やかな笑みを浮かべつつ口を開いた。