葵の言動に天はドキドキが止まらない。そんな天に葵は色っぽい笑みを浮かべる。


「もっとよく見せてや。赤音さんのかわええ顔」

「っ〜！！？」

　天はこれ以上ないくらい顔を赤くして、声にならない悲鳴を上げた。その反応に葵は満足そうに微笑む。もういつもの優しい顔に戻っていた。

「安岐くんっ、イエロー！」

「やりすぎてしまいましたか」

　天がそう言えば葵は楽しそうに笑う。ちょうどそこへ、天を迎えにリッカとエマが歩いてくるのが見えた。葵は未だ赤い顔の天の腕を引き寄せ、バランスを崩した天を支えるようにし、その耳元で囁く。

「どや？キュンしてもうた？もっとする？」

「ちょっ……」

「残念。今のでイエロー2枚目ですかね？俺は退場ですね」

　揶揄うように笑みを浮かべ、天を解放すると葵はリッカとエマに会釈し、固まったままの天に言葉をかける。

「それでは、赤音さん。また今度」

　そう言って部活の仲間の元へ去っていく葵を天はボーッと見つめていた。しばらくそこに立っていると、リッカとエマの声がして我に返る天だった。

「ちょっと！何あれ？あんたら二人ってそういう関係なの？」

「なんかいい雰囲気だったね」

　天を見て興奮気味に話すリッカにエマも同意するように頷くのだった。天は天でもうキャパオーバーしたらしく、最高のキュンをメモに打ち込むこともできずにいた。

「も、あんなの無理いいい」

　天は頭を抱えて、へたり込む。自分はとんでもない相手にご褒美などとという約束をしてしまったのではとい　今更ながら悔やんだ。